静岡地方裁判所 昭和30年(行)5号 判決 1955年12月07日
磐田市中泉三、〇〇二番地
原告
勅許家元正四位菊坡安倍司家宗教法人
皇治教社会事業寮信徒共同購買販売協同利用組合本部
(以下宗教法人共同購買販売協同利用組合本部と略称する)
右代表者主管者
木舟直太郎
青葉勇吉
静岡県浜名郡新居町新居九八〇番地
原告
儒教陰陽道孔子教団総帥府上海司庁勅許家元正四位国教総裁菊坡安倍司家公許祭祀法人皇治教神祗陰陽道天社神宮大司庁勅許正四位総管大教主陰陽医学博士晃司家木舟晴善勅許家元正四位菊坡晃司家社会事業寮公許宗教法人国際無線電気協会
(以下宗教法人国際無線電気協会と略称する。)
右代表者主管者
李明俊
磐田市見付二、三八五番地の四
被告
磐田税務署長
道正信彦
右指定代理人
山田良平
村松実
片桐信
竹下重人
北岡三郎
右当事者間の差押処分取消請求事件について、当裁判所は昭和三〇年一一月二五日終結した口頭弁論に基いて、次のように判決する。
主文
原告らの訴を却下する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
事実
原告宗教法人共同購買販買協同利用組合本部は、被告が昭和三〇年五月一六日同原告所有の別紙目録記載の有体動産に対してなした差押処分を取り消す。訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求めた。原告宗教法人国際無線電気協会は適法な呼出を受けながら昭和三〇年一一月二五日午前一〇時の当審における最初の口頭弁論期日に出頭しないので、訴状の記載事項を陳述したものとみなし、出頭した被告に弁論を命じた。しかして右訴状の記載によれば右原告は原告宗教法人共同購買販売協同利用組合本部と同じ判決を求めるというのである。そして原告らは請求の原因を次のように述べた。
被告は原告宗教法人共同購買販売協同利用組合本部所有の別紙目録記載の有体動産に対し、同組合本部が昭和二九年度分法人税金八〇〇円を滞納したことを理由として昭和三〇年五月一六日差押処分をなした。しかし同原告は従来より免税事業として営業して来た宗教法人であるのにこれに対し課税することは違法であり、従つてこれに基く本件差押処分も又違法であると言わなければならない。
そこで原告宗教法人共同購買販売協同利用組合本部は被告に対し再調査の請求をなし、ついで審査の請求をしたが、右審査請求に対して何らの回答がないから、ここに右差押処分の取消を求めるため本訴に及んだものであり、原告宗教法人国際無線電気協会は前記違法な差押処分の取消を求めるため本訴に及んだ次第であるというにある。
被告指定代理人は主文同旨の判決を求め、本案前の抗弁として次のように述べた。
被告が原告宗教法人共同購買販売協同利用組合本部に対する昭和二九年度法人税の滞納処分として、原告ら主張のような差押処分をなしたことは認めるが、原告らは本訴提起に際し国税徴収法所定の前置手続を経ていない。即ち原告らは本訴を提起するについて再調査の決定は勿論審査の決定も経ていないから、本訴請求は不適法として却下されるべきものである。
理由
先ず本訴が適法であるかどうかについて検討する。
税務署長のなした国税滞納処分に異議のあるものは原則として当該処分をなした税務署長に対し不服の事由を記載した書面で再調査の請求をし、その決定に対し不服があるときには、更に書面で国税局長に審査の請求をなし、その審査の決定を経た上でなければ該処分の取消変更を求める行政訴訟を提起することをえないことは国税徴収法三一条の二ないし四の規定上明らかである。
しかして法人税滞納処分の執行としてなされた本件差押処分に対し原告宗教法人共同購買販売協同利用組合本部は適法な再調査並びに審査の各請求手続をなしたと主張するけれども、これを認めるに足る何らの証拠がないから、右原告は本訴を提起するについて右手続を経ていないと認めざるを得ないし、又原告宗教法人国際無線電気協会については、同原告の釈明書によれば、右原告は再調査請求の手続はしたが、審査請求の手続はなしていないと釈明しているが右再調査請求の手続をしたことについては何らこれを認めるに足る証拠がないから、この手続はなしていないものと認めざるを得ない。しかして原告らが前記国税徴収法所定の手続を経ることなく直ちに本訴を提起するについて正当の理由があるとは認められないから、原告らの本訴はいずれも訴訟要件を欠くものと言わなければならない。
よつて原告らの本訴請求はその他の点について判断する迄もなく不適法として却下し、訴訟費用の負担については民事訴訟法八九条九三条を適用して主文のように判決する。
(裁判長裁判官 戸塚敬造 裁判官 田嶋重徳 裁判官 大沢博)
別紙
目録
一、柱時計 中古 壱
一、自転車婦人用磐一一、二八四 中古 壱
一、自動秤トキコ 中古 壱
(注)
昭和三〇年一二月九日、静岡地方裁判所が言渡した
(1) 昭和三〇年(行)第五号・勅許家元正四位国教総裁菊坡司家祭祀法人皇治教神祗陰陽道天社教団大本庁宗教法人皇治教信徒相互共同経営部すし対磐田税務署長・差押処分取消請求事件(原告控訴)
(2) 昭和三〇年(行)第六号・儒教陰陽道総師府晃宗教勅許家元正四位国教総裁菊坡晃司家公許祭祀法人皇治教神祗陰陽道大本庁宗数法人やまき対磐田税務署長・差押処分取消請求事件(原告控訴)
(3) 昭和三〇年(行)第七号・勅許家元正四位菊坡晃司家宗教法人皇道治教信徒共同一茶寮信徒共同購買販売協同組合対磐田税務署長・差押処分取消請求事件(原告控訴)
に対する却下の判決は、これと同趣旨であるから登載を省略する。